けしのはな

沈黙を舌で味わう

活字が読めない病

 鬱病とは病気である。
原理から言って、ものによるがもはや身体的な病と言って差し支えないだろう。
 しかし鬱は、外から見ても中から見てもわかりにくい病である。気分が上向かないとか集中力がないとか、誰にだって訪れることであるし、ただの甘えだと言われることもある。

 自分でも鬱の症状が悪しき怠惰に由来するものだと思えることが多い。目の前にテキストを広げ、さあ勉強しなくてはとなっても、テキストの文字がスラスラと紙からこぼれ落ちるように思えるほど、頭に入ってこない。時間があるから本でも読もうとしても同じことだ。大学が休みになって知識を自分で仕入れなきゃいけないこの時期に、文字情報を入れることがとても苦痛になるのは本当に辛いものだ。

 自分の興味ある分野の本でも、読みたい小説も、何もかもが頭をすり抜けていく。東風を受ける馬になった気分だ。しかし僕の中では焦りばかりが大きくなり、心を苛む。すると尚更活字が頭に入ってこない…ああ、僕はどうすればいいのだろう!