けしのはな

沈黙を舌で味わう

氾濫

 

(ふと)

 

追憶の川が逆流する。

汎ゆる思考を飲み込み

逆流する。

灯りかけた小さな炎をかき消し

全てを紫色に濡らす。

 

(堤防を越えて)

 

逃げ遅れた人々。

悪霊憑きの豚の群の様。

破滅の道をひた走り

飛び降りる。

 

(Стихия)

 

文明は水没する。

川は血が滲むように

拡がる。

 

(何を方舟に載せるのか?)

 

(それとも僕は…)