けしのはな

沈黙を舌で味わう

五月

橙色の涙をはらり
アスファルトに落とす
雛罌粟に触れれば
記憶に打った
セーニョを探す


公園のベンチは日向
優しい君は
頭を垂れて
天邪鬼な僕は
遠くを見つめる


風に吹かれて
頭を揺らめかせる
花のように君は…


白い雲…


 


自分でも知らぬ
純白な言葉が
口の端から洩れる


零さぬように上がった口角から
目を逸し 罪を逃す…

 

 


アルカロイドの短い夢は
覚め
こくりこくりと
雛罌粟が揺れる