けしのはな

沈黙を舌で味わう

朧月夜

その花びらを山に残して
無残な姿で登りゆく
茎はゆつくり伸び、空は
黒い葉っぱに包まれる


さながらそれは悪魔の翼
その瞳は涙に滲み
鋭い牙を剥き出して
天に向かいて咆哮す


ああ神よ 
孤独に咽ぶ我を見て
何を思う?



茎が世界を二分した時
彼は消え 光に満ちて
しかし まだ
彼の嗚咽は木霊する